1789年7月14日のバスチーユ監獄襲撃からフランス革命が始まった。この2年前からフランスの気候は不順で、穀物の収穫量は平年の3分の2になり、小麦価格は2倍に高騰していたのである。 5年後の1794年も天候は最悪であり、フランスでは大規模な食糧暴動が発生した。この年7月にジャコバン党のロベスピエールは刑場の露と消え、革命は転換点を迎えたのだ。 フランス革命は民法やメートル法など、のちの世界に思想や制度で多大な影響をあたえたことは誰でも知っている。しかし、そのきっかけのひとつが気候であったことはあまり知られていない。 E・ル=ロワ=ラデュリ著『気候と人間の歴史・入門』著者は本書で中世以降現代までのヨーロッパにおける、気候が人間社会に与えた影響を語る。まさにアナール派歴史学の入門書だ。 アナール派ではないのだが、その特徴のひとつである、長期的な経済史を、よりグローバルな視点で取り扱っているのが
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