英語の勉強という名目でアガサ・クリスティーをはじめ、E・C・ベントリー、アール・デア・ビガースなど、いわゆる本格黄金時代と言われる推理小説作家の作品を読みあさった時期があった。アッと驚いてしまうようなトリックはもちろんだが、事件の背後に隠されている複雑な人間関係や、不可解な心理の鋭い描写に心を奪われて、無我夢中で読みふけったものだ。 その中でよく登場するのは、時間をかけて考え抜いた計画を完璧に遂行したのに、再び犯行現場に足を運び、怪しまれる犯人。謎解きのヒントになりそうなバレバレのウソをついてしまい、自ら敗北の道を突き進む犯人も。頭では「やっちゃいけない」とわかっているのに、つい理不尽な行動に出てしまうというのは人間だから。 理不尽な行動と言えば、私は「古典愛」という変態癖を断ち切ることができず、罪悪感にさいなまれた犯人と同じように、何度もその“犯行現場”である本屋に足を運び、何度も同じ作
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