E.H.エリクソンの『玩具と理性』を読んでいると、文脈も考慮せず引用したくなるフレーズに色々とぶつかる。冒頭のウィリアム・ブレイクの引用からしてそうだ。 子供の玩具と老人の理性とは、 二つの季節の果実である。 本書は「玩具の世界は、子どもの築く港だ。自我の分解修理が必要なとき、彼はそこに帰っていく。」という名文句のある『幼児期と社会』のあとを引き継ぐ書物で、内容は1972年の講演を元にしている。講演の原題は「遊び、ヴィジョン、欺瞞」で、幼児期のユートピア状態をさらにベトナム戦争当時の米国の「政治的」態度へ投影しようとしていた様子。 エントリーの右肩にあげた画像は、本書の導入部の重要なエピソードであるロバートという5歳の黒人少年の症例分析に出てくる「積み木」の図で、ロバート少年は、いつも部屋に入ってくるとすぐに「どこで遊べるの?」と玩具にまっしぐらに向かっていく子供で、彼が構成した積み木に関
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