利賀演出家コンクール最終決戦。 利賀に着いてすぐ、今年の審査員の講評がまとめられた印刷物を配られる。目を通すと、なるほど、非常にレベルの高い大会で、中でも残った二作品が高い評価を得ていたことがわかる。 今年は出場は見送ったけれど、この大会への気持ちが冷めたわけではない。 利賀の地を踏むと、いつもながら色々考える。 ここはいろんな人にとっていろんな意味のある場所。多くの演劇人の魂が浮遊し、思索にふけるにはうってつけであるが、惜しむらくは来る度ごと忙しくあまりそのような時間がとれぬことだ。 ここにくると亡くなったちー姉さんのことを思い出す、とくに夏、この時期、姉さんが再びここを訪れているような気になる。そしてついこの前、コムエアーの墜落で失われた幼馴染の命への思いも喚起させられざるを得ない。ここは、私にとってもっとも生死の境に近い場所だ。富山で買ってきた花とビールを手向ける。 感傷に浸る気はな