仏の教えを喜び、慈しみに住する修行僧は、一切の現象が鎮まることから生まれる涅槃に到達するであろう。 (法句経三六八) お釈迦様は「瞬間でも慈しみの心を育てなさい。それだけでも立派なことである」と説かれました。慈悲の心がなければ、もはや仏教ではないといってもいいと思います。慈悲は仏教の真髄なのです。しかし、慈悲の心は何もせずに放っておいて生まれてくるものではありません。努力して育てていくものです。 お釈迦様は、日常の中で実践できるものとして、「慈悲の瞑想」を教えました。慈悲の心を育てるには、まず「自分が幸せでありたい」ということを、よく確認しなければなりません。そしてつぎに「自分だけが幸せでいられるはずがない」という当たり前の事実に気づくことです。自分の幸せは、周りの人々の幸せがあってこそ成り立つのです。 慈悲の瞑想とは、どんなときにも心のなかで「すべての生命が幸福でありますように」と念じて