甲府盆地を囲む山並みが青く輝いている。山梨中銀スタジアムの客席に座って視線を落とすと、そこにはヴァンフォーレ甲府を支えるスポンサーの看板や横断幕がぎっしりと連なっている。 たとえばゴール裏に目をやると、そこには計39枚の看板が4列に並んでいる。「ゴールした選手がサポーターのところに駆け寄るのも大変なんですよ。何度も飛び越えなきゃいけないから。サッカー専用スタジアムになったら、とても収まらない」。会長の海野一幸は冗談めかして、そんなことを言う。 「まあ、あの看板がウチの一番の自慢ですよ」。とにかく、広告として売れるスペースはすべて売る。両チームのベンチの囲いの上、脇、さらに囲いの背後にも看板が立つ。4カ所の砂場を覆うシートの上、選手が入場してくる蛇腹(じゃばら)式トンネル、ボールボーイのイスの背中……。故障者を乗せる担架の広告はいまや多くのクラブが採用しているが、最初につけたのは甲府であり、