昭和初期、現在の茂原市から長南町を経て、市原市に至る一二・二キロを一本の鉄道路線が結んでいた。わずか八年半で営業運転を終えた「南総鉄道」。往時を知る人は少なくなったが、沿線の元住民は目の当たりにした駅舎のたたずまいや車両の姿を懐かしむ。 (堀場達) 「本社が生家の近所の笠森寺駅にありましてね。社屋二階では弁士付きの映画を上映することも。ええ、無声映画です」。幼少時をこう振り返るのは、長南町出身の今井佳之さん(88)=船橋市在住。 駅名にもなった笠森寺は、坂東三十三カ所霊場の三十一番札所として知られ、古来、遠方から巡礼たちが足を運んだ。多くの乗降客を当て込み、本社を置く拠点駅として整備されたらしく、茂原市教育委員会がまとめた「南総鉄道の歴史」には、映画上映のほか「学生の書道や絵画の展示も行った」とある。
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