『ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』 ロベルト アンプエロ,Ampuero,Roberto,真紀, 宮崎 早川書房 1,870円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ミステリーは治安の良い民主主義国家のみで発展しうる娯楽である、という説がある。犯罪者が出れば警察がそれを捕らえ、法に定められたとおりに処罰する。その体制が成立していなければ、事件発生から謎解きまでを描く小説は受け入れられない、というのがその骨子だ。実はこの言説は自文化中心主義にもつながりかねないので、発言者には自重が求められる。以前、アメリカの編集者兼評論家のオットー・ペンズラーがこういう趣旨の発言をしていたのを読んだことがあり、はいはいアメリカ人、アメリカ人と思ってしまった。そうですね、アメリカはすごいね。最高だね。 皮肉はさておき。動乱が相次ぎ、混沌が支配
エマノンが戻ってきた。SF美女総選挙なんて企画をすれば上位入賞はまちがいない名キャラクターだ。まあ、登場人物を抜きだして人気を競うなどしょせん戯れごとだが、しかしエマノンは彼女の存在性が世界のなりたちと深く結びついており、一介のヒロインたちと同列に較べられない。 地球生命の発生以来の記憶を持つづけ、ひとつの種が絶滅するときにはその最期に立ち会う----この役まわりは地母神の色合いを帯びている。そのいっぽうで、エマノンは死ぬことのできない永遠の放浪者でもある。地母神の生命感と放浪者の孤独。慈愛と無垢。この両義性は、1979年発表の第一作「おもいでエマノン」以来の各話で、さまざまな様相としてあらわれてきた。 『うたかたエマノン』はこのシリーズ初の長篇で、19世紀末、カリブ海のマルティニーク島が舞台だ。アフリカから奴隷として連れてこられた祖父を持つ混血の少年ジャン・ジャックは、エマノンの笑顔に優
異色短篇の名匠と呼ばれる作家は何人もいるが、そのなかでもチャールズ・ボーモントはひときわ目映く見える。1929年生まれ、16歳のときに先輩作家レイ・ブラッドベリと知りあいその交遊のなかで小説家を志し、20歳そこそこでデビュー、以来、SF誌やスリックマガジンを舞台として活躍する一方、TVの怪奇SFシリーズ〈ミステリーゾーン〉に脚本を提供、しかし若年性アルツハイマーを発症し1967年に早世してしまう。20年足らずの作家活動で発表した作品は60篇ほど、生前に刊行された短篇集は5冊。「彼がもっと長く活躍していたら......」と多くのファンが思ったはずだ。 もっとも、異色短篇作家が輝く時間はおおむね短い。ブラッドベリは洗練を手に入れるかわりに暗く甘やかな幻想性を手放していったし、ロバート・シェクリイは才気煥発な奇想性はもっぱら初期だけで、やがて人文科学的なロジックをひねる方向へとシフトしていった。
本の雑誌10月号「サンリオSF文庫全リスト!」に合わせて、サンリオSF文庫と関連の深いサンリオ文庫Aシリーズ(文学)のリストを掲載します。 ※リスト中の作者名・作品名はサンリオ表記に準拠 ★----サンリオ文庫Aシリーズ(文学)----★ ●ガルシア=マルケス〔Gabriel Garcia Marquez/1927- ,コロンビア〕 A/1a『エレンディラ』(短篇集)[鼓直・木村榮一訳](1983年10月30日)○面白い! >>再刊/ちくま文庫(1988年) ●カート・ヴォネガット〔Kurt Vonnegut/1922-2007,米〕 A/2a『ヴォネガット、大いに語る』(エッセイ集)[飛田茂雄訳](1984年3月30日)○面白い! >>再刊/ハヤカワ文庫NF(1988年)→ハヤカワ文庫SF(2008年) ●アントニイ・バージェス〔Anthony Burgess/1917-1993,英〕
1978年から87年まで、197点が刊行されたサンリオSF文庫。SF者を狂喜させ、古本者を乱舞させ、文学者を歓喜雀躍させたサンリオSF文庫とはなんだったのか! というわけで、本の雑誌10月号の特集は「サンリオSF文庫の伝説」。顧問として創刊に参画した山野浩一を大森望が直撃する創刊前夜インタビューから、菊地秀行、中原昌也、田口久美子、施川ユウキが綴るサンリオSF文庫の思い出、牧眞司のオススメ度付き全リスト、古書いろどり店主がこっそり教える古書価格チャートに、大橋博之のカバーイラストベスト5、そして読者アンケート「私の偏愛サンリオSF文庫!」に、おじさん三人組のサンリオSF文庫エアハントまで、マニアならずとも知っておきたい伝説の文庫の全貌に迫るのだあ! 新刊めったくたガイドは、矢口誠が『ジェイコブを守るため』の強烈すぎる破壊力に震えれば、佐久間文子はボリューム満点、巨匠の伝記三本立てにどっぷり
本屋さんの閉店の話に悲しんでおりましたが、そういえばオープンしたお店もあったはずと、東横線学芸大学駅で下車し、地図を片手に徒歩五分。 ありました、ありました。「SUNNY BOY BOOKS」さんです。道ばたには本が詰まった棚が並び、入り口ではサボテンと植物も売られております。手書きの看板が目印ですね。 趣のある扉を開けて(なんと扉は店主さんが自分で探し歩いて付け直したとか)店内に入ると、たった五坪の狭い店内のはずなのになんだか本がいっぱいあるような。思わずじっくり見てしまいます。 この手のお店にありがちがセレクト系の棚かと思いきやそんなことはありません。様々なジャンルの、つい手を伸ばしてしまいそうな本が並んでいます。古本と新刊が並ぶ棚やお店全体からはとっても自然な感じが伝わってきて、たいそう居心地がいい。会社帰りや休日の午後に寄れたらさぞや気分がいいかも。 というわけでみなさんぜひ「SU
『鉄道が変えた社寺参詣―初詣は鉄道とともに生まれ育った (交通新聞社新書)』 平山 昇 交通新聞社 864円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 「初詣」は信仰よりも企業の営利活動によって創られた意外に新しい年中行事だった!! 目にウロコを入れた記憶はないものの、これぞまさしく〝目からウロコ〟と呼ぶのだろう。日本の原風景ともいえるほど巷にあふれた神社仏閣、日本人の深層に根ざした神仏への敬虔な思い......全国津々浦々、伝統行事は数多あれどお寺や神社に纏わるものであれば、きっとそれ相当の長い月日によって培われて今に伝わったものだと単純に信じて疑わなかった。 チョコレート屋が「バレンタインデー」を、コンビニが「恵方巻」を、結婚式場が「ジューン・ブライド」をまんまと定着させたように、「初詣」までもが電鉄会社の商売によって広まったなんて...
取次搬入:2024年4月9日 (一部地域では2,3日遅れることがあります) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto →バックナンバー →定期購読について →アンケート・三角窓口受付 →スッキリ隊出動依頼 本のタイトル、書名はどうやって決まるのか!? 著者がつけてくるのか、編集者が決めるのか、それとも社内会議で社長がこれ!と決めるのか。というわけで本の雑誌5月号の特集は「そのタイトルに決まるまで」。タイトルが決まるまでの苦心惨憺を明かす正直編集者座談会から、長文タイトルの顛末にタイトル案百出具体例、翻訳書のタイトルにラノベのタイトル、扶桑社、早川書房など10社の自慢タイトルに読者の衝撃タイトルまで、タイトル一直線の特集なのだ! 新刊めったくたガイドは柿沼瑛子が"平凡すぎる"顔のポールとにわかトリオががんばる『有名すぎて尾行ができない』をイチ押しすれば
ぼくたちはいまここから、時代を経ても揺るがない確かな「スタイル」を学ぶことができる 『ジャズの前衛と黒人たち』『ぼくは散歩と雑学がすき』「植草甚一スクラップ・ブック・シリーズ」全41巻──ジャズ、映画、ミステリー、コミックと日本のサブカルチャー史に巨大な足跡を残したJ・J氏に1970年代生まれの旗手が挑む! J・J氏スタイルアゲイン! 全著作完全読破。 目次 第1章 一九六七年、『ジャズの前衛と黒人たち』 第2章 『ぼくは戦争と雑学がすき』と彼の残したスクラップ・ブック 第3章 J・J氏の長い不在、『映画だけしか頭になかった』 第4章 ニューヨークという街、「それでも自分が見つかった」 第5章 「植草甚一スクラップ・ブック」シリーズ・オール・レヴュー 第6章 逝去までの四年間 第7章 余滴
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