#9 見知らぬ三十九歳のこと 大人になりそこなってきた、という体感がある。二十三歳までにこなさなければいけなかった儀礼のいくつかをスルーしてしまった、というほうが正確かもしれない。 たとえば、大学に入るまで、友だちと夕食を食べたことがなかった。どうやらみんなは高校の放課後に買い物をしたりゲームセンターに行ったりしているらしい、そして家族ではなく友だちと夜ご飯を食べることがあるらしい、そう勘付いてこそいたものの、自分とは関係ない話だと思っていた。親が門限に厳しかったのもあるかもしれない。ラーメンも牛丼も、成人したころにようやくハラハラせずに食べられるようになった。 スポーツも授業以外でしたことがない。就職活動をしていると、じぶんの「リーダーシップ」のなさに目を見張る。どうやら、みんなはスポーツにかぎらず、なんらかのチームプレイを経験して育ってきているらしい。 まわりが初体験がどうセフレがどう
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