誰の人生も否定したくない。 今年1月に私小説『夫のちんぽが入らない』を出版し、心に強く決めたことだ。 私の母は怒りのスイッチが、ぶっ壊れていた。 親や環境のせいにするなと言われるかもしれないが、心の土台を形成する子供時代に「嵐が過ぎるのをじっと我慢するしかない」という術だけを頼りに生きていたことは、のちの成長に少なからず影響したと思う。叩かれたり、なじられたりするのを耐えていれば「最小限の被害」で済んだのだ。 実家で暮らしていたころ、「自分らしく自由に」という生き方が全く理解できなかった。母が壊れてしまわない方法だけを知りたかった。 何度か転機が訪れた。 実家を出て、夫となる人に出会えたこと。勤めた学校で学級崩壊を起こし、精神状態がおかしくなったこと。退職してネット上で文章を書き始めたこと。 これらは母との関係性の変化でもある。 家を離れ、世の中は選択肢で溢れていることを知った。精神を病ん