奈良市の平城京跡で、古代から近世にかけて巨大地震が4回発生したことを示す液状化現象の痕跡が、奈良文化財研究所(奈文研)の調査で確認された。いずれも南海トラフ巨大地震だった可能性があり、震源から遠い内陸の遺跡から、複数の地震痕跡が確認されるのは初めてという。奈文研は今後、各地の発掘記録を集めて未知の巨大地震を含めた発生の頻度や規模の解明を進める。 奈文研が平城宮朱雀門跡の南約100メートルを2016年に調査し、飛鳥時代から現代まで、出土した土器などから10層の地層の時期を特定した。地層をはぎ取ってX線撮影などをした結果、震度5弱以上の地震で起きる液状化で地中の砂が地表に噴き出す「噴砂」の痕跡が、4層で見つかった。 日本書紀や近世文書など複数の文献にある地震の記録と噴砂痕の年代を照合。古い順に〈1〉684年の白鳳地震〈2〉887年の畿内・七道地震か、938年の京都・紀伊地震〈3〉1707年の宝