2005年にノーベル経済学賞を受賞し、昨年の12月に95歳で亡くなったトーマス・シェリングの比較的一般向けに書かれた本。 ノーベル経済学賞を受賞したシェリングですが、経済学者というよりはゲーム理論の専門家と言うほうがその業績はわかりやすいかもしれません。実際、主著の『紛争の戦略』は、日本では政治学の名著を紹介する「ポリティカル・サイエンス・クラシックス」の1冊として刊行されており、政治学にも大きな影響を与えた人物です。 そんなシェリングが書いた『ミクロ動機とマクロ行動』というこの本ですが、これまたなかなか適当なラベルを貼るのが難しい内容です。 第7章を除けば、それほど難しい事は言っていません。さまざまな身近な事例をあげながら話が展開していくので、多くの人が「あるある」と思いながら読めるでしょう。 そんな「あるある」な現象を、単純な「算術」とゲームの理論を始めとする経済学のいくつかの知見で読
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