2020年3月18日のブックマーク (1件)

  • 荻野洋一の『ブラックパンサー』評:普通の映画であることによって革命的作品に 

    この映画にはメッセージはない。あるとすればただひとつ、「われは黒人」という一点が身体言語によって執拗にくり返されている。アメリカ製のアメコミ映画であるにもかかわらず、アメリカ人はひとりしか出てこず、CIAエージェントであるこの男にしても、ごく補助的、後見人的な役割しか演じようとしない。あたかも今はもうそうでなければならないと心得ているかのように。『ブラックパンサー』はアフリカの架空の国ワカンダの物語である。「ヴィブラニウム」なる鉱石の恩恵を受けて高度な文明を築きつつも、「ヴィブラニウム」の拡散を恐れ、隠匿的な国家体制を採ってきた。 作は2月に全米で公開されるやいなや、黒人若年層を中心に熱狂的に迎えられ、映画史上歴代5位の驚異的な興行成績を叩き出しているそうだが、その理由はあきらかだ。つまりこれが単に黒人初の格的スーパーヒーロー映画であるばかりでなく、これが差別や抑圧、貧困から切断された

    荻野洋一の『ブラックパンサー』評:普通の映画であることによって革命的作品に