細田守監督『おおかみこどもの雨と雪』(2012年公開)は、「格差」と「差別」をめぐる物語であり、社会的な「排除」と「包摂」をめぐる物語である。どういうことか解きほぐしていこう。 「おおかみ」のモチーフを取り払うと…… 『おおかみこども』の主人公、花は東京郊外の国立大学に通う学生であるが、大学の講義に潜って受講する「彼」に惹かれ、二人は恋に落ちる。ところが「彼」は、自分がおおかみに変身できる「おおかみおとこ」であることを告白する。花はそれを受け容れ、二人は事実婚をして二人の子供、女の子の雪と男の子の雨を産む。二人とも「彼」の血を継いだ「おおかみこども」であった。 ところがある日、子どもたちのために雉(きじ)を捕まえようとしたらしい「彼」はおおかみの姿のまま死んでしまう(実際の原因は不明)。花は独力で二人を育てようとするが、「おおかみこども」を都会で育てることは不可能であり、富山の人里離れた古
赤ちゃん連れOKのママズ・クラブ・シアターで乳幼児にまみれながら『おおかみこどもの雨と雪』見てきました。0歳児と5歳児の世話をしながら見たので見落としているところも多々あると思いますが。 序盤、妊娠したヒロイン・花が便器を抱えて吐きまくるところで「これは好感が持てる映画だな」と素直に思ったことを記しておきましょう。だいたいフィクションの中のつわりって一回吐いて「…妊娠?」で終わりじゃないですか。実際自分の身につわりが起きて、2ヵ月以上船酔い状態でマーライオンのごとく吐き続けたときは、心底「聞いてない」と思いましたもん。そのほかにも出産直後のベッタベタの髪の表現といい、幼児に本を破られまくるところといい、夜泣きに弱ってうろうろするところといい、育児あるあるの連続。アニメーション映画でここまで乳幼児の育児を執拗に描いた作品があっただろうか。育児の苦労を描いてくれてありがとう! あとなんか映像が
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