◇夢は一人のものでない ロンドン五輪で引退。もし五輪に出られなければこれで引退−−と決意して挑んだ今月8日の日本選手権の予選。1台目のハードルで僕は足をひっかけ転倒し、敗退した。25年の競技人生はあっけなく幕を閉じた。 あの日、僕は昔のままの感覚で本当に思いきりスピードを出したつもりだった。でも実際はスピードは出ていなかったし、ハードルに足すら届かなかった。スタートからの飛び出しで勝負してきた僕が、それをできなくなったならもう勝負のしようがない。だから、本当に僕の時代が終わったんだなと思ってすごくすっきりした気持ちでレースを終えた。気が済んだというのが今の正直な気持ちだ。 僕には吉沢賢という友達がいる。同じ年で、高校時代から400メートル障害で切磋琢磨(せっさたくま)したライバルでもあった。彼の方がハードルを始めるのは早く、僕が後から入り込んでいった。18歳から28歳までいろんな試合で戦っ