2024年春闘では、日本製鉄の14・2%の賃上げをはじめ、トヨタ自動車や日立製作所など大手企業が軒並み給与アップを打ち出した。政府は賃上げの波が中小企業にも広がることを期待する。その鍵を握るのが、生産コストの上昇分を取引先が分担する「価格転嫁」の実現だ。 「カジノの様相」「若い頃とは比べものにならない」 投資の神様ウォーレン・バフェット氏、株高に警鐘 2023年11月、政府は価格転嫁を促す指針を公表し、労働組合と財界のトップを含めた政労使のいずれからも「価格転嫁の実現を」との大合唱が起きた。取材すると、変化の兆しは見られるが、「きれいごとだ」と突き放す見方や大企業との格差拡大を嘆く声も聞かれた。中小企業の従業員らが働く現場を歩いた。(共同通信=小林まりえ、仲嶋芳浩) ▽原材料費2倍、生き残りに向け価格交渉 自動車や機械などの各産業はピラミッドの頂点に大企業が位置し、裾野に広がる多数の中小企