更新日:1月11日21時32分
![「ツョッピソグ」「御会計はスッタフにお声かけ下さい」惜しい日本語が続々集まる](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/62f8ccec7a8a1f8a061162207142b8a6c5a35fcd/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fs.togetter.com%2Fogp2%2F0ac15cf913cdc4263896655814c249e2-1200x630.png)
父はあるときから、ぼくを〈船〉に閉じ込めるようになった。 家の近くの漁港に、父は底びき網漁船を一艘持っていた。海底を網で漁り、カニやカレイを大量に捕獲する、小さくて力強い船。それは夜になると、ぼくを閉じ込める牢になった。 きっかけは些細なことでもよかったし、なくてもよかった。父は気まぐれにぼくを海まで連れ出し、船室に閉じ込めて鍵をかける。そしてひとりで家に帰り、気が向くまで戻ってこない。 ただ、それは、永続的なものではない。父は閉じ込めたぼくを、忘れることはなかった。五分で解放されるときもあれば、日付が変わるころに戻ってくることもある。どんなに長くなっても、必ずこのときは終わる。だからぼくも、なんとか正気を保つことができた。 船室から見える海は、一面の黒だった。 空虚な闇のような黒ではなく、重たさを持った存在感のある黒だった。海はアメーバのような原生生物にも見えたし、高度に発達した知性体に
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