大阪出張を終え、上りの新幹線で帰路についていたときである。ゆったり帰りたかった私は自腹でグリーン券を購入し、喜び勇んで新幹線に乗り込んだ。 本日は直帰を命じられているし明日は休みだったので大阪-東京間で小旅行気分を味わって帰ろう、そんな腹づもりだったのだ。だがそんな円満はその5分後、いとも容易く打ち破られることになる。こんな状況になっていたからだ。 何故こんなことになってしまったのか全然分からない。前方、後方、隣の席。どっからどう見ても"カタギ"とは思えない風体の方々で埋めつくされているのだ。 屈強な恐竜の群れに、しがないコバエが一匹、何の手違いがあればこんなことになるのか。JR全線を手当たり次第問い詰めたい気持ちでいっぱいだった。 車内は物々しい静けさに満ちており、生きた心地はしなかったが、とにかく生き抜くため半ば呼吸を止めて存在感を消す。数日の出張で疲れが溜まっていて体を伸ばしたかった
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