(松浦晋也=ノンフィクション・ライター) 航空宇宙研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究本部(ISAS)は、7月10日12時30分、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県・肝付町)からM-Vロケット6号機を打ち上げた。打ち上げは成功し、X線観測衛星「ASTRO-EII」を予定軌道に投入した。ASTRO-EIIは、「すざく(朱雀)」と命名された。 今回の打ち上げは、梅雨のまっただ中という悪条件で実施され、天候が原因で打ち上げは4日遅れた。過去、ISASが梅雨の間に実施した衛星打ち上げは1998年の火星探査機「のぞみ」だけ。これは地球と火星の位置関係で、この時期に打ち上げざるを得なかったものだ。 体裁を取り繕ったか? JAXAの意思決定 実はM-V6号機の打ち上げは、当初今年2月に予定されていた。それが、同じく2月に打ち上げを予定していたH-IIAロケット7号機の打ち上げを優先することとなり、2004