多様化が凄まじい最近のアイドル 以前、アイドルについて文章を書いた際、もっとも頭を悩ませたのは「アイドルとは何か」という問題でした(難波功士「アイドルを声援することの系譜学:親衛隊からヲタ芸まで」丹羽典生編『応援の人類学』青弓社、2020年)。 1961年生まれの私にとって、1970~80年代のアイドルが原像としてあるので、アイドルといえば歌謡曲をふり付きで歌う10代の男女(基本的にソロ)なわけですが、平成生まれにとってアイドルとはグループで歌い踊るものだったたりします。その人の年代や性別によって、思い描く「アイドル」像はじつにさまざまです。 K-POPアイドルの参入もあって、「アイドル戦国時代」といわれた2010年代には、アイドルのビッグバンが生じました。地下アイドルやご当地アイドルなどといった言葉が一般化し、地上波テレビ放送やメジャーレーベル、大手芸能・音楽事務所などを前提としないアイ