弁護士資格を取得した嘉子は、その直後に結婚した 何事にも真っ先に飛び込む積極性、周囲を巻き込んで突き進む。嘉子よしこは、学生時代にはパワーあふれる言動から“エネ子さん”と呼ばれていた。法曹界でもそんな彼女の姿が見られるようになるまでには、もう少し時間がかかる。 また、弁護士資格取得後の嘉子の関心事は、仕事と別のところにあったようだ。昭和16年(1941)11月に彼女は結婚している。結婚に伴う準備には多くの時間とエネルギーを要する。独身から夫婦になれば生活環境も大きく変わるから、どうしても意識はそちらに向いてしまう。 目標ができるとそれに向かって脇目もふらず邁進するのが嘉子の常。それは、ひとつのことしかできないという欠点にもなる。仕事と家庭の両立は難しかったか? 誰もが認める秀才なのだが、案外、不器用な人だったように思える。 「たまたま私自身の結婚や育児の時期に重なったこともあり、弁護士活動