ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (46)

  • 和牛特上カルビの夜にウメーシュ - Everything You’ve Ever Dreamed

    ショートケーキにホイップされたクリームを従えて乗っかっている苺や、ハンバーグの横でバターにまみれて人参・インゲン・コーンとつるんでガロニ顔している馬鈴薯や、駅前にある定屋のネギトロ定に付いてくる茶碗蒸しの底にいる銀杏はピリリとスパイスの効いた小さい宝物みたいなもので、僕は最後の最後まで大事に取っておいて期待を最大限に膨らませてからべるようにしている。炭火焼肉屋の網上煙下唯我独尊宝物は特上カルビ。それを惜し気もなく迷いのない初球打ちでひょひょいとべてしまう口元を眺めながら僕は当にこの口元と同じ遺伝子を持っているのかと疑ってしまう。 長年勤めた仕事を辞めた母の慰労で焼肉をべに行ったのはこの夏の終わり。僕がオーダーをチャチャっと済ませたところに母が切り出す。「焼肉を奢ってくれるなんて珍しいわね。何を企んでいるの?金?あんたにあげる金は一円もないわ。そういえばこないだ生命保険に入ったっ

    和牛特上カルビの夜にウメーシュ - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/10/21
    生きてるうち はたらけるうち 日のくれぬうち
  • 透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed

    事故を告げる電光掲示板。僕はホームから夜空を眺めた。人身。遅延。予め組み込まれた橙色の文字列が素知らぬ顔で左から右へと秋風のなかをすり抜けていく。左から右へ。橙色のドット。駅員に詰問する会社員風の男。弁明する腕章を巻いた駅員。喧騒。ヘッドフォンをして気長に電車の到来を待つことにした僕に、女性が「なにがあったんですか」と尋ねてきた。僕は電光掲示板に映しだされた文字をそのまま声にして繰り返した。音のないヘッドフォンを介した僕の声はやけに無機質で遠く、あの掲示板の親戚みたいだった。ヘッドフォンの音量を上げる。プライマル・スクリームの「ロックス」が僕に飛び込んできた。 「ロックス」が収録されていたアルバムは出来損ないのストーンズみたいだった。カート・コバーンがショットガンで頭をぶち抜いたあの年の秋、大学生だった僕はダメストーンズをCDウォークマンに入れてヘビーローテーションしていた。あの日も何かの

    透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/09/16
    オッサン、がんばろう!俺もがんばる!
  • 暇なオッサンがまたまたステンドグラスをつくってみた - Everything You’ve Ever Dreamed

    天気がよかったのでビールを飲みながらベランダで寝転んでいた。空は突き抜けるように青く、雲ひとつなかった。「夏も終わり…」「厳しい残暑…」。昨夜。近日中にプロ野球のスター選手との熱愛が発覚するに違いないお天気お姉さんが涼しげな顔で夏の終わりを言葉のなかに刻んでいた。昨夜。FMヨコハマからは森山直太朗の歌が流れていた。「夏のおーわーりー」。僕よりもずっと年下なのに「お姉さん」なんて見栄を張り、嘘を付いている奴の言うことなんて僕は信用しない。森山直太朗はよく知らないけれど、そのフレーズは「さくら(独唱)」幻の四番だろ。さくらは春だ。 この青い空を見ろ。夏の予感で満ち満ちているじゃないか。蝉の鳴き声もまばらだ。9月だって?6月の間違いだろう?シックスナイン間違ってるだろう。お願いだ。そう言っておくれよ。何か大きな世界システムみたいなものが僕を騙しているって言っておくれよ。何もやってないんだ。恋。コ

    暇なオッサンがまたまたステンドグラスをつくってみた - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/09/07
    すばらしい!!
  • あなたとは違うんです - Everything You’ve Ever Dreamed

    「あなたとは違うんです」とは中華料理屋の壁のちょっと高いところに置かれたナショナル製14型テレビから飛び出してきたメガネをかけたちょっと偉そうなハゲの言葉で、僕はカウンター席で醤油ラーメンをズズッズーとすすりながらそれを聞いて「うわっ人間くせえオッサンだなあ」という感想しか出てこなかったのだけれど、後ろのテーブルでさっきまでパチンコ大負け選手権をしていたオッサンたちが一斉にハゲを罵りだしたのはなんだか可笑しかった。政治家としては、昔の全日プロレスに喩えると打ち合わせにない投げっ放しジャーマンを喰らわせるようなもので、おいおい昨日のマットと違うことされても困るんだけど、聞いてないよって感じでお世辞にもほめられたものではないけれど、オッサンたちがパチンコでウン万円負けたこととはまったく別の次元の話だ。「最近パチンコでねーウゲッ」「今月いくらつぎこんでると思うんだーオエー」「馬もこねーウェ」オ

    あなたとは違うんです - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/09/05
    下ネタとダジャレなのに素敵な文章。どんな仕組みになってるんだ。
  • 俺はまだ性癖を出してないだけ - Everything You’ve Ever Dreamed

    目が覚めると「へ」の字になっていた。平仮名の「へ」。布団の上、うつ伏せの姿勢で軽く腰が持ち上がった僕は、少し離れて眺めると頭から足の指先まで170センチの「へ」の字に見えたはずだ。目が覚めてしまったのはすっかり完治したと思っていた腰痛のせい。身体を少しでも動かすと、激痛が腰の中心から拡散していく。再発の原因はわかってる。眠る前に「未知の力を目覚めさせてうだつのあがらない生活にサヨウナラ」と思ってキメた水魚のポーズ。あれだ。間違いない。痛みが怖くて動けない。限られた視野のなかで、第一号だけしか買わなかった「週間恐竜サウルス!」オマケの骨格模型の傍らで、テレビから伸びたコードの先のヘッドフォンがカシャカシャと歌っていた。何の音かは識別できなかった。コードの先にあるテレビのなかには何かが映っていた。コンタクトレンズを外し、眼鏡も掛けていない僕には様々な彩りのシルエットがぼんやりと動いているだけだ

    俺はまだ性癖を出してないだけ - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/08/26
    大沢佑香といい長谷川ちひろといい、好みの女優が似てる気がする。8月6日の日記を読んで鮎川なおをチェキったことは言うまでもない。
  • 駄菓子屋ガール・ロックンロール - Everything You’ve Ever Dreamed

    地元にある駄菓子屋は婆さん一人で切り盛りしてるような小さい店でお世辞にも綺麗とはいえない。もう25年も前の話になるのだけれど、婆さんの駄菓子屋の店頭にはカラフルな飴玉がつまった瓶、駄菓子、水風船、零戦ヒコーキが溢れ、毎日のようにボンクラ小学生が取り囲んでいた。僕もそのうちの一人で「うまい棒」や「よっちゃんイカ」や「ベビースター」を毎日のように買っていた。そこは僕らの宝島だった。 ガンプラが流行ったとき、プラモ屋が「ド・ダイYS」とザクの「武器セット」を抱き合わせにするような阿漕な商売をして、「あそこではもうプラモ買わねー」「エンガチョ」「店の前に犬のウンコ置いちゃおうぜ」「立ちションしよーぜ」と百円玉3枚を握り締めたボンクラ小学生の失望と顰蹙と怒りの標的になったけれど、婆さんはそんな商売っ気を微塵も見せることなくガンプラが入荷するや否や「シャーガンダムあるよ〜」と僕らに声を掛けてひとつずつ

    駄菓子屋ガール・ロックンロール - Everything You’ve Ever Dreamed
    nightshift
    nightshift 2008/07/24
    あの女の子は全力疾走婆さんのオッパイだったのではないか、そう思っている。いません。