書物史の一角に、人がどのように書物を使ったかを研究する領域がある。2007年の暮に刊行された ウィリアム・シャーマン(William H. Sherman)の新著Used Books: Marking Readers in Renaissance England(University of Pennsylvania Press, 2008, ISBN:081224043X)は、そうした研究成果のひとつ。 書名から窺われるように、本書はルネサンス期イングランドにおける書物の読まれ方、使われ方をテーマにしている。 といっても、すぐに疑問がわいてくる。一体全体、すでにこの世にいない人の本の使い方をどうやって調べるというのか。「では、いまからちょっといつもそうするように本を読んでみてください」と、目の前で実演してもらってそれを観察するというわけにもいかない。 どうするのか。と思って読んでゆくと、過
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