戦慄的までに美しいエロスの園へ―。 髑髏を抱える両性具有の天使、一角獣やスフィンクス、裸体で戯れる少女たち・・・。 古代から現代に至るまで普遍的な人間の深層課題である「エロスとタナトス(=愛と死)」を描き続け、2001年にこの世を去った山本六三(Mutsumi YAMAMOTO)。その耽美な世界は、美術のみならず文学の世界でも高く評価され、バタイユ作「大天使のように」・「眼球譚」(生田耕作訳)や吉田一穂詩集「白鳥」、塚本邦雄作「感幻楽」の装丁、「幻想文学」表紙画などを手掛けました。数多くの幻想・異端文学を紹介した仏文学者・澁澤龍彦は、山本六三を「銅版画のマニエリスト」と評しています。また、パリで開催した個展では女流シュルレアリストであるレオノール・フィニから称賛を受けるなど、油彩、版画、デッサンともに多くの知識人から高い評価を得ています。 混沌とした時代において確固たる意思と卓越した表