多くのアーティストにとって、アルバムはその時々の創作活動の集大成と言えるものだ。アルバムには、アーティストの主張や心理状態のみならず、彼らを取り巻く社会状況や生活環境が反映されている。そのため、アーティストが発表する音源の中で最も重要な存在であると考えられてきた。 しかし、そのような位置付けは過去の話になりつつある。問題は、アーティストの大半がその変化に気づいていないことだ。今やアルバムは時代遅れであるばかりか、アーティストのキャリアを妨げかねない代物である。 現代はシングルの時代である。40、50分間もじっくり腰を落ち着け、アルバムに収録された曲を順番に聴く人はもういない。スポティファイやアップルミュージックを通していつでもどこでも音楽にアクセスできる中、好きでもない曲を固定のプレイヤーで聴く必要はない。それでも、アーティストたちは何ヶ月もかけてアルバムを作り続けている。アーティスト自身