近代社会が成立する前、まだ王様がいた時代、王の実名をそのまま口にしたり、文字として書くことが禁止されていた。それはいわゆる「諱」、つまり実名を敬避する(敬って避ける)習俗である。それが、現代になったいまの中国社会には、別な形として残されている。中国のインターネットでは、国家主席などの名前はよく「敏感詞」と分類され、ときに検索不可になるか、ときにSNSにてその名前を含むつぶやきを投稿できなくなる(投稿しようとするとエラーが表示される)。 この新たな形の諱には、偉い人達の愛称、あるいはシンボルも含まれている。たとえば、中国の国家主席習近平氏は、2013年米国に訪問する際、当時の大統領オバマと一緒に歩く姿がくまのプーさんと似ているとネットで話題になり、以後、くまのプーさんが、中国のネット民にとって時々習近平氏を指す固有名詞になっていた。 Image Credit : BBC 2013年、米国大統