1945年8月15日、昭和天皇が国民にポツダム宣言受諾を告げ、3年8カ月に及ぶアメリカとの戦争がようやく終わった。それから63回目の夏がやって来た。 日本は完膚なきまでアメリカに叩きのめされ、この戦に敗れた。海路をすべて遮断され、空襲で徹底的に破壊され、最後は原爆を2発落とされて、なす術がなかった。戦争遂行能力どころか、国民の生存に最低限必要な物資・食糧が底をついた。 おびただしい数の人が死んだ。台湾、朝鮮をはじめ、近代以降日本が獲得したすべての領土と権益を失った。残された本土は占領下に置かれ、日本は主権を一時失った。完敗であった。 ところで「終戦の詔勅」以来、「敗戦」はずっと「終戦」と呼ばれている。日本人は不都合な真実をあいまいな言葉で糊塗(こと)するのが得意だ。「終戦」という言葉が定着したのは、戦争に負けたと言いたくない政府の意図を、多くの国民が共有したからだろう。右の陣営も左の