2008年7月、厚生労働省は、全国の児童相談所が相談を受け対応した児童虐待件数が過去最多の4万418件(速報値)にのぼったことを発表した。統計を開始した90年には1101件だった相談件数は年々増加の一途をたどっており、相談件数1万件を超えた99年より8年足らずのあいだに、その4倍を超える結果となった。Fonteでは2004年6月から12回に渡り児童虐待について連載で取りあげてきた。その連載のなかから、インタビュー記事を紹介していきたい。 ――虐待の件数は実際に増えているのでしょうか? 厚生労働省の発表では、全国の2003年度の児童虐待の相談処理件数は2万6573件(速報値)で、統計を開始した1990年度の1101件の約24倍。これは虐待の件数そのものが増えているのか、顕在化してきただけなのかと、私たちはよく聞かれます。 まず、顕在化している面は大きくあります。たとえば、地域で虐待問題につい