丁寧な作りと若干コミカルなストーリー展開が魅力のアドベンチャーRPG つくものがたり Text by Ky 日本には,流れていくときの中で形を変えずにあり続ける“古きもの”には神や霊が宿り,それらに対する接し方次第で幸だけでなく不幸をも呼び寄せるといった民間信仰がある。こういった観念から生まれた神は「付喪神」(つくもがみ),または長い年月を表す言葉である九十九とかけて「九十九神」と呼ばれた。 付喪神に成りうるとされる対象は,自然物から人の作り出した道具まで実にさまざま。これは森羅万象に八百万の神が宿るとする,日本独自のアニミズムから生まれた考え方と捉えていいだろう。 この観念は,現代の日本にも残っている。「物を大切にしなさい」と親や教師に説教を受けた記憶は誰にでもあると思うが,この根底には,長い間大事に扱われたモノには良い神が,粗雑に扱われ劣化してしまったモノには悪い神が憑くという古い考え