銭湯が好きだ。 のれんをくぐるとそこには外の喧騒を忘れるような別世界が広がる。 錆びついた体重計やお金を入れて使うタイプのドライヤー、そして忘れていけないケロリンのおけ……。 番台にて代金を払い、ガラス戸を開けて中に入ると、目の前に広がる富士山のタイル画を見ながら湯船につかり、自宅の風呂では感じられない解放感に浸るのだ。 いわゆる「昔ながらの銭湯」というやつはこうも惹きつけてやまないのだろう。だが、そういった「昔ながらの銭湯」の数は時代の変化とともに激減していると聞いた。 そして私はJR鶴見線に乗っていた。JR鶴見線・安善駅の近くにある昔ながらの銭湯・安善湯に行くためだ。 私は高校生の時に銭湯マイブームが訪れ、友人と学校帰りに銭湯に遊びに行っていたから昔ながらの銭湯は何度も経験しているが、どうやら同年代、特に女性は銭湯を経験していない人も多いようだ。 自分の周りの20~30代の女性に聞いて