言わずと知れた草加市の名物「草加せんべい」。製造・販売する市内の店舗を巡ると「せん遍以(べい)」と表現した看板や商品がちらほら。なぜ「煎餅」ではなく、この漢字を使うのか。疑問に思った独協大職員の昼間良次さん(45)=八潮市=は、その土地だけで知られる「方言漢字」とみて、謎を探っている。 (近藤統義) 東武線草加駅に近い県道交差点の角にある、老舗せんべい店「志免(しめ)屋」。看板には「草加せん遍以」の文字が見える。信号待ちをしていた昼間さんが、ハッと気付いたのは一年前のことだ。「『遍以』はこれだけでは読めない。草加特有の表現なのではないか」 地名と街づくりを考える市民グループ「八潮の地名から学ぶ会」の事務局長として、さまざまな方言漢字を調べてきた昼間さん。早速、市内の約五十店を訪ね歩いて商品の包装紙やシールを集め、店主らに「せん遍以」と表記する理由を尋ねた。