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ブックマーク / katos.blog40.fc2.com (7)

  • 旅する読書日記 ワードマップ エスノメソドロジー

    エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ) (ワードマップ) 前田 泰樹 水川 喜文 岡田 光弘 新曜社 2007-08-03 売り上げランキング : 131925 Amazonで詳しく見る by G-Tools  これも、かなり前にいただいたものだが、読んで紹介しようと思っているうちに1年以上が虚しく過ぎ去っていった。でもようやく読んだので、遅まきながら、簡単に紹介する。  「エスノメソドロジー」に興味を示す社会学の学生は根強くいるのだが、いままでは自信をもって薦められる(日語の)入門書や概論書がなかった(見落としていたらあっさり謝る)。これまでの、エスノメソドロジーと銘打ったを読んで、「人々が気づかずに行なっている、日常生活の中の見えない差別を暴く」のがエスノメソドロジーなんだと勘違いをしていた若者も少なくなかったのではないか。もちろん、エスノメソドロジーが日常的な

  • 旅する読書日記 良い死

    良い死 立岩 真也 筑摩書房 2008-09 売り上げランキング : 54890 Amazonで詳しく見る by G-Tools  この10月、共同通信のために書いた立岩真也『良い死』の短い書評を転載します。いくつかの新聞に配信されたはずですが、確認はしていません。  重度の障害や難病とともに生きる人たちの傍らで、望ましい社会のあり方を粘り強く模索してきた社会学者による、「尊厳死」に対する透徹した批判の書である。   誰かがひどい苦痛にさいなまれながら生きているとき、周囲の人間がなすべきは、その人の苦痛をできるだけ軽減し、より健やかに生きられるよう助力することであるはずだ。それはむしろありふれた常識ではないか。だが全く反対のベクトルをもつ主張、すなわち「不治かつ末期」の病者に速やかな死を与えよとする「尊厳死」の思想が勢力を広げつつある。それは「自己決定」や「自然」といった、聞こえのよい修辞

  • 旅する読書日記 見田宗介『社会学入門』ほか

    Amazonマイストア 鈴木先生 3 越境の時 イッツ・オンリー・トーク 沖で待つ 星新一:一〇〇一話をつくった人 表現のための実践ロイヤル英文法 知識の哲学 ロボットの心 猛スピードで母は デカルト―「われ思う」のは誰か これが現象学だ 縷々日記 その名にちなんで 停電の夜に 御大・見田宗介さんの最新著。これは不思議なだ。ある意味で非常にオーソドックスな社会学史をふまえた近代化論が展開されているのだが、全体としては見田宗介/真木悠介の作品としか言いようがない感触に包まれている。個別の論点としては、<他者の両義性>と<関係の重層性>をまず認めてしまうことで、リバタリアン/コミュニタリアンのような二項対立への傾斜を緩和することを提唱している点が重要。これも一見非常に地味な論点だが、そんなのあたりまえじゃんと思って流してはいけない。二項

  • 旅する読書日記 生と権力の哲学ほか

    Amazonマイストア 鈴木先生 3 越境の時 イッツ・オンリー・トーク 沖で待つ 星新一:一〇〇一話をつくった人 表現のための実践ロイヤル英文法 知識の哲学 ロボットの心 猛スピードで母は デカルト―「われ思う」のは誰か これが現象学だ 縷々日記 その名にちなんで 停電の夜に 檜垣立哉『生と権力の哲学』(ちくま新書)。フーコーのいわゆる「生権力」論と、それをめぐるドゥルーズ、アガンベン、ネグリらの批判的展開についての要約・解説として、よくまとまっている。フーコーたちのを読んで頭を抱えている大学生諸君には良いガイド役になると思うが、もう一歩先の話になると、物足りない感も残る。たとえばドゥルーズの『フーコー』――学部のとき、高橋準君たちと一緒に四苦八苦しながら原書を読んだのが懐かしい(遠い目)――に沿って、こんな風に言われているのだが

  • 旅する読書日記 犯罪、自由、『全体主義の起源』

    Amazonマイストア 鈴木先生 3 越境の時 イッツ・オンリー・トーク 沖で待つ 星新一:一〇〇一話をつくった人 表現のための実践ロイヤル英文法 知識の哲学 ロボットの心 猛スピードで母は デカルト―「われ思う」のは誰か これが現象学だ 縷々日記 その名にちなんで 停電の夜に 物心ついたころに「三億円事件」や「大久保清事件」に強烈な印象を受けたせいなのか、子供の頃のぼくは犯罪というものにものすごく興味があって、学研から出ていた犯罪や科学捜査の紹介を繰り返し読んだものだった。中学一年のときには<ケネディ暗殺の真相>を明らかに(?)した落合信彦『2039年の真実』に大げさでなく夢中になり、学校の「社会科クラブ」で「犯罪研究班」を立ち上げようと呼びかけたが誰も加わらず、あっさり挫折したのは、いくら厨房とはいえ、ちょっぴりイタい思い出では

  • 旅する読書日記 補足・「愛国心」の基礎

    Amazonマイストア 鈴木先生 3 越境の時 イッツ・オンリー・トーク 沖で待つ 星新一:一〇〇一話をつくった人 表現のための実践ロイヤル英文法 知識の哲学 ロボットの心 猛スピードで母は デカルト―「われ思う」のは誰か これが現象学だ 縷々日記 その名にちなんで 停電の夜に 『全体主義の起源』のドレフュス事件に関する記述には、ドレフュスを擁護したクレマンソーの次のような言葉が註として添えられている(邦訳第1巻、175頁)。 「愛国主義のためには祖国がなければならない。そして正義なしには祖国はない。法律なしには祖国はない。」  原文を調べてみると、  ...pour le patriotisme il faut une patrie. Et il n'y a point de patrie sans justice, il n'y

  • 旅する読書日記 マルクスの使いみち

    Amazonマイストア 鈴木先生 3 越境の時 イッツ・オンリー・トーク 沖で待つ 星新一:一〇〇一話をつくった人 表現のための実践ロイヤル英文法 知識の哲学 ロボットの心 猛スピードで母は デカルト―「われ思う」のは誰か これが現象学だ 縷々日記 その名にちなんで 停電の夜に 四十を超えてからじわじわと老眼っぽくなってきて、電車の中でを持つ手が日に日に顔から遠ざかる。混んだ車内でを顔にくっつけるようにして広げるという芸当はもうできない。  そんな苦難とたたかいながら読んだ書『マルクスの使いみち』(稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅著、太田出版)は、分析的マルクス主義(アナリティカル・マルキシズム)に立つ現代経済学がめざすもの、また新古典派経済学とそれとの関係について大まかに状況を知るには非常に役立つ良いである。とはいえ、最低限、大

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