秋葉原のオタク街化の背景を解き明かす本書は、2003年に出版されたものだ。私はそれを高校時代に図書館で読んだ記憶がある。 私は中学3年生だった2001年ごろから高校2年生だった2004年ごろまで、かなり熱心に秋葉原に通っていたため、この本は非常にアクチュアルなものだった。 今回の再読も、当時のことが思い出され、とても楽しい経験だった。以下、自分にとって記録となるように、本書内容を要約しておこう。 本書の要約 本書の主張の概要―「趣都の誕生」 本書は、2004-5年の『電車男』等を経た現在では常識となっているものの、当時はまだ目新しい事象であった、秋葉原のオタク街化―簡単にいえば、秋葉原が美少女イラストで埋め尽くされるようになったこと―についての包括的な論考である。 著者はこの出来事を、タイトル通り、『趣都の誕生』として位置づける。60年代の西新宿のような「官」主導の都市開発、80年代の渋谷