今回は、書評のベースとなる、本文からの抜粋などによる「読書ノート」をまとめてみた。 20世紀の奇書『群衆と権力』全巻の外観を共有できたら幸いである。 パラノイア患者あるいは権力者以上に群衆の諸性質をはっきり見抜く眼を具えている者はたしかにいないし、かれらの--いまでは恐らく誰しも認めるとおり--帰するところはひとつである。だが、かれが--両者を同一の代名詞で表そう--関係する群衆は、かれが敵対し支配しようとする群衆にかぎられている。これらの群衆はすべて同じ顔をしている。 (本文より) ●歴史的情報 エリアス・カネッティ(1905年7月25日~1994年8月14日) ブルガリア出身。スペインから逃れてきたユダヤ人の家系。英語、フランス語、ドイツ語を学ぶ。本書はドイツ語で執筆。オーストリア・ウィーンに移住のちにイギリスに亡命最後はスイスに移住『群衆と権力』の完成までに35年かかった。 ●この本