第35巻第2号 『立命館産業社会論集』 1999年9月 23 「女らしさ」 の戦略と罠 −ゴフマンの分析視角から− 高橋 裕子* 男と女を二項対立的に捉える制度は牢固とした基盤をもって私たちの生のあり方を規定する。制度 は一方で諸個人に外在的な性別分業や社会化などを構成し,他方で諸個人に内在的な身体技法を構成 する。そして,それらに通底するのは, 「男と女をどのようなものと考えるのか」という一連の知の体 系である。ゴフマンが自らの分析単位として設定した社会的状況に着目すると,制度は二項対立的な 知の体系をバックボーンに,一定の型を伴った身体技法−象徴的には儀礼−を通して表現される が,そのような定形性を帯びた慣習はひるがえって制度の再生産を意味する。それをゴフマンは制度 的再帰性と呼ぶが,この観点に従うなら,いかなる行為者も制度を再帰的に再生産させる諸個人だと いうことが
- 28 - ヴァーチャル「児童ポルノ」規制の論理と「萌え」の倫理 原田 伸一朗 1 1 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 0.はじめに 現実の児童虐待を伴うことなく製作された、いわゆる ヴァーチャル「児童ポルノ」に対しては、これを通常の 「児童ポルノ」に対するのと同様の論理、同等の峻厳さ で規制することが可能かどうかが国内外で法的に問題と なっている。本発表では、日本に特徴的なタイプのヴァ ーチャル「児童ポルノ」、すなわちマンガ・アニメ・ゲー ムの類に対して、「児童ポルノ」としての法的規制が許さ れるかどうかを論理的に検討する。またそうした新しい タイプの情報メディアの特異性や社会的影響力を、「萌 え」というキーワードを手がかりに検出することで、ヴ ァーチャル「児童ポルノ」規制をめぐる問題状況を新し い角度から整理、概観する。 1.「児童ポルノ」イメージの対抗 本テーマを論じる上
「ヴァーチャル/リアル」という問題 ̶現代世界の問題として̶ 安彦一恵 はじめに 厳密に考えていくためにまわりくどい表現になるが、いまコンピュータやインターネットを核 とする諸技術によって可能となっている一つの空間を「サイバー・スペース」1 と呼ぶとして、 これについて正反対の評価がなされている。その評価のポイントとなっているのは、それが本 的に含む「仮想性」である。すなわち、一方では肯定的に、「仮想性」によって人間の在り方に 一つの創造性が与えられると られ、他方では否定的に、「仮想性」は人間の在り方にとって有 害であると説かれている。利・害両 . 方 . の側面が在るからこうなるのだと うことは可能であろう が、以下、̶̶この二面性の存在を否定しはしないが̶̶基本的に「サイバー・スペース」を肯 定する立場で、「仮想性」に対する否定的評価について基底的なところから批判的検討を加えて
1 論理的帰結関係と真理概念 ── タルスキを基礎にした言語哲学的諸問題の研究 ── 橋 本 康 二 2 目次 緒言………………………………………………………………………………………………… 3 第一章 論理的帰結関係………………………………………………………………………… 7 1 序……………………………………………………………………………………… 7 2 タルスキによる論理的帰結関係の定義(1) ── 定義の背景 ……………… 8 3 タルスキによる論理的帰結関係の定義(2) ── 定義の構成 ………………13 4 エチメンディのタルスキ批判(1) ── 必然性をめぐって …………………20 5 エチメンディのタルスキ批判(
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く