【はじめての和声法】17.モーツァルトに見る「自然な」和声法 現在一般的に考えられる和声や和声法が誕生したのは近代に入ってからと言えます。その和声法を、いわゆる古典派期の作曲家がどのように作曲に活かしたのか見ていきましょう。 ベートーヴェンに見る和声の「緊張と緩和」フランスの作曲家オリヴィエ・アランは『和声の歴史』の中で、ベートーヴェンは和声を「力学的に曲を構成するために」使っていると述べています。ここで言う「力学的」とは、和声における「緊張と緩和」によって生じる「音楽の推進力」のことだと考えられます。それでは和声の緊張と緩和とはどのようなことでしょうか? 今回はベートーヴェンの和声を学んだ上で、ロマン派の和声まで概観してみましょう。 そもそも緊張と緩和は和声の基本であると言えます。不安定なドミナンテによって生じた緊張感は、安定するトニカになることによって緩和されます。その緊張と緩和をいか