一瞬のディレイ 北斗百裂拳の後の「一瞬のディレイ」がヒントになったことを、まずは明確にしておこう。 このヒントが持つ意味を、私だけではなく、この文章を読んでいる多くの写真家のみなさんにも了解してもらえるはずだ。 それは、遅いSDカードを使った時の書き込みのディレイであり、そして爆裂する連写のバッファーが切れたときの、あのディレイ。 北斗百裂拳の一連の流れは、恐ろしいほど克明に、デジタルカメラの連写のシステムと似ているのだ。 それはいわば、「必殺の瞬間」あるいは「決定的瞬間」へと至る直前に、世界全体がその宿命を祝祭しているかのような意味ありげな文学的沈黙ではあるが、物理的にはそれは「遅延」以外の何物でもない。 人間の限界 残念ながら私の周りには北斗神拳の伝承者がいなかったために、そこまで深くその機微を知る機会がなかったので推測の域を出ないが、おそらくは致死の経絡破孔が適切に突かれた時、身体が
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