「人間は最悪のシナリオにどう向き合っているのだろう。無視するのか、過剰に重視するのか。低確率の大惨事のリスクにはどう対処すべきか?…多くの環境保護主義者は、損害が生じるかどうかが不明な状況のための〈予防原則〉を熱心に支持する…しかし、この姿勢の明らかな難点について考えてほしい。1パーセントの確率と確実性との差を無視するのは大きな間違いだ。 しかし、最悪のシナリオが十分に恐ろしければ、その発生確率が実際には低くても、われわれはあたかも確率がはるかに高いかのように扱うだろう。これは本当に賢明な考え方なのか? 問題は、最悪のシナリオへの対応が負担とリスクをもたらす可能性があり、その対応自体にも最悪のシナリオが伴うという点だ」(はじめに) 本書の目標は三つ。第一に、最悪のシナリオに対して人間の心理はどのように振る舞いがちなのかを分析する。特に過剰反応と完全な無視という極端に振れる心理傾向がリスクへ
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