量子力学の諸原理が内包する不思議は、ながらく人知を超えた問題、あるいは純粋に解釈の問題として扱われていた。しかし現代の物理学者たちは高度な技術と創造性を駆使した実験によって、それらの難問を科学の俎上に載せ、本質に肉迫している。本書はそうした、現代量子物理学の新局面を開いた実験を取り上げ、現象の機序を解く理論と合わせてリアルに体感させる。波と粒子の二重性、相補性、非局所性、量子のからみあい、そして量子情報といった最近のテーマまで、幅広くカバーしている。 いずれもファンタスティックとしかいいようのない実験の数々が、明快に、かつ必要十分な具体性をもって紹介される。量子論に予備的な知識のある読者にとっても、かつてない手ごたえとともに、ミクロの世界への驚きと好奇心が呼び覚まされる読書体験となるだろう。一切の数学的表現を避けた一般書と、数学的表現に大半を委ねた専門書との間にある、大きなギャップを埋める
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