日銀総裁の仕事は、大して効果がないと知りつつも、懸命にやっているよう見せることが肝要らしい。少しでも緊縮財政をやられると、金融緩和はひと溜まりもないが、財政再建は絶対の善とされ、金融緩和だけで景気は良くなると思い込まれている。こうした信心を持つ「権力者」に対し、反論する無益を犯さず、気に入られるべく行動するというのは難儀である。これが上川龍之進先生の新著『日本銀行と政治』(中公新書)の読後感であった。 ……… 金融緩和をすると、自国通貨安により輸出が増え、ローン金利の低下で住宅建設が伸びる。設備投資には直接効かず、二つの需要増が経路となり、需要リスクが癒されて初めて促進されるというのがポイントである。あとは、投資増→所得増→消費増→需要増と、好循環が続いて成長は加速して行く。 日本の経済政策の特徴は、好循環が始まりかけると、すぐさま財政が退いてしまい、成長を失速させ、元の木阿弥にしてしまう
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