メスメルの先行する同時代人「ガスナー神父」:ヨハン・ヨーゼフ・ガスナー(Johann Joseph Gassner:1727〜1779) は、オーストリア西部山岳地方のフォアアールベルクVorarlbergにある非常な寒村ブラーツ(Braz)に生まれた。「神父」と呼ばれることからわ かるように、彼は1750年、カトリック教会に入り、1758年からスイス東部の小村クレースターレで聖職者として活動を開始した。メスメルをして、「彼 は格別の磁力を持っており、彼にくらべてわずかな力しかない私は磁石を使って力を増幅する必要がある」といわしめた強力な治療力は、ガスナー自身の頭痛が きっかけだった。彼は説法やミサの最中に自分を襲うこの頭痛を、自分を妨害しようとする悪魔の仕業と考えた。カトリックの牧師らしく、ガスナーは祓魔術 (エクソシスト)と祈祷でこれを「退けた」。その後、ガスナーは多くの信者を集め、祓