はじめに ノーベル賞の国として有名なスウェーデンは、1814年以来約190年間、中立・平和を維持してきたことでも知られている。筆者が個人的に非常に興味があるのは、スウェーデンの選挙制度である。1909年以来といわれる比例代表選挙が特徴で、選挙になると街の中心に各政党が同じ大きさの仮小屋を建て、ビラやお菓子などを置いて、自政党の政策を訴えたり、中・高生などの学生を含む市民と議論している様子を実際にみてみると、日本の中身のない個人中心の選挙とはまったく趣を異にしていることが分かる。このようなスウェーデンのシステムを、主として支えてきたのがブルーカラーのナショナルセンターであるLOなどを中心とする労働組合運動であり、LOと社民党などが一体となって「福祉国家・スウェーデン」を築いてきたといえる。 旧社会主義国や中国などにおいて労働組合が企業の民主化や労働者・国民の生活の安定・改善に果たした役割は、