ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (11)

  • "意図に基づいた愛"を実践する方法(読書メモ:『How to Not Die Alone(独身のまま死なないために)』) - 道徳的動物日記

    How to Not Die Alone: The Surprising Science That Will Help You Find Love (English Edition) 作者:Ury, Logan Piatkus Amazon 久しぶりに洋書の紹介。 書のタイトルは How to Not Die Alone: The Surprising Science That Will Help You Find Love (『独身のまま死なないために:愛を探すための驚きの科学』)。副題に"科学"という単語が含まれている通り、著者のローガン・ウライは行動科学者。 ハーバードで心理学を学び、Google社で行動経済学者のダン・アリエリーとチームを組んで研究した(その研究の成果は『予想どおりに不合理』に取り入れられている)後に、「自分がこれまでに学んできた行動科学のツールを恋愛関係にも応用

    "意図に基づいた愛"を実践する方法(読書メモ:『How to Not Die Alone(独身のまま死なないために)』) - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2022/06/25
    愛は人を集団に結びつけるように機能するヒトの本性であり、これを科学の対象とするのを忌避するのは自分の行いを省みることを嫌う野蛮な性質のあらわれだと思う。
  • 「犬笛」としてのオープンレター - 道徳的動物日記

    sites.google.com 「女性差別的な文化を脱するため」のオープンレターはもう半年以上前に発表されたものだけれど、このオープンレターで取り上げられている呉座勇一氏が日文研から「停職一か月」や「準教授取り消し」の処分を受けたこと、そしてその処置が不当であるとして呉座氏が日文研を提訴したことを受けて、ふたたび話題となっている。 mainichi.jp www.kyoto-np.co.jp わたしは、「キャンセル・カルチャー」の問題については、このブログだけでなく講談社現代ビジネスにも記事を書きながら、何度も取り上げてきた*1。だから、発表された当初からこのオープンレターやその背景にある事件には関心を抱いてきた。しかし、このブログでは取り上げてこなかった。まず背景にある事件がかなりややこしい構造となっているうえに事実関係を把握するのも困難であること(散発的な誹謗中傷が鍵付きのTwitt

    「犬笛」としてのオープンレター - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2022/01/25
    問題発言する人物をキャンセルすることと少数者の発言を抑圧する差別的文化をなくすことはゼロサムの関係ではないのに、オープンレターではそのゼロサムをトリッキーに主張するところがイカンという指摘。
  • 人種差別は「本能」ではない(『啓蒙思想2.0』読書メモ④) - 道徳的動物日記

    啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために 作者:ジョセフ・ヒース NTT出版 Amazon 心理学者のジョナサン・ハイトは、『社会はなぜ右と左にわかれるか』などの著作や諸々の記事などで、人間には「部族主義」の能(バイアス)が備わっていることを何度も強調している*1。他の点ではハイトの主張を批判している哲学者のジョセフ・ヒースや心理学者兼哲学者のジョシュア・グリーンですら、人間に「部族主義」の能が備わっていることは認めている。 そして、部族主義は、しばしば人種差別主義の原因となる。ただし、部族主義は必ずしも人種差別主義を引き起こすわけではない。部族主義それ自体は能に根差したものであるが、部族主義が人種差別主義として表出されるかどうかは、状況や環境による。これが、『啓蒙思想2.0』の13章の前半でヒースが行っている議論のポイントだ。 一部の心理学者は、実験の結果を用いながら、「

    人種差別は「本能」ではない(『啓蒙思想2.0』読書メモ④) - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2022/01/25
    内集団を尊重し外集団を排除するのは本能だが、集団を規定する指標は任意に可変である。だから、人種差別自体は本能に根差すものではない、という話。
  • 「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記

    出勤前に、サクッとメモ的に書いておこう。 Twitterはてなブックマークをはじめとしたネット・SNS界隈では、十年一日という感じで、相変わらず「社会学叩き」が盛んだ。 といっても他人事ではなくて、このブログでも、過去に、社会学や社会科学の現状について批判するHeterodox Academyの記事を訳したことがある。 davitrice.hatenadiary.jp davitrice.hatenadiary.jp また、わたしもちょっと関わっている『経済学101』でも、社会学を批判する記事が訳されて投稿されることがある。代表的なものは、ジョセフ・ヒースによる以下の記事だろう。 econ101.jp ヒースの記事における「規範的社会学」という言葉に示されているように、これらの記事で問題視されていることは、「社会学(社会科学)が、特定の道徳的規範・政治的規範に影響を受けすぎている」ことで

    「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2021/02/03
    「規範的主張が事実的主張よりも優先されて、事実に関する分析に歪みや偏りが生じていたり、特定の事実的主張があらかじめ排除されていたりする」
  • 私が"議論"が嫌いな理由 - 道徳的動物日記

    ひとくちに議論と言っても色々とあるだろうが、私には世の中で行われている議論というものはおおむね2種類に分かれているように思える。ひとつは、議論に参加している双方がお互いのことを対等に見なしており、互いがどう思っているかを明らかにしたり相互理解を目指したりするなどの建設的な目標を持って行う議論である。もう一つは、相手を論破したり相手の主張の欠点を示すことで自分の賢さや能力を第三者たちに誇示することを目的とした議論である。 前者の議論を行う人はいま自分が議論している相手に対して目が向いている一方で、後者の議論を行う人は自分たちの議論を見聞して「どっちが正しいか」「どっちが勝つのか」とジャッジしたがるオーディエンスに対して目が向いていると言えるだろう。そして、SNSなどでバズって"論客"と見なされやすく、人からの歓心を得てフォロワーを集めやすいのは後者の方である。…なかには、単に論破しようとする

    私が"議論"が嫌いな理由 - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2019/12/05
    自説の正しさを相手に認めさせるための議論は、聴衆はいないが相手と対等ではなく、これも不毛なパターン。自分が正しく相手は間違っているというのが前提。議論の結果がオープンではない。
  • 「啓蒙をめぐる戦争」(『Enlightment Now』への批判に対するスティーブン・ピンカーの応答)【その1】 - 道徳的動物日記

    2018年の初頭に出版されたスティーブン・ピンカーの新著『Enlightenment Now: The Case for Reason, Science, Humanism, and Progress (現代の啓蒙:理性、科学、人道主義、進歩を擁護する)』は、多くの批判にさらされてきた。タイトルの通り合理主義や科学を擁護して、非合理的な考え方や信仰を批判するこの著作は、特に文系のインテリの気に障ったようだ。ピンカーが「啓蒙」を人々の生命を助けたり社会を豊かにしたり個人を道徳的にさせたりするものとして称える一方で、批判者たちは啓蒙主義をレイシズム・帝国主義・人々の生存に対する脅威・孤独や自殺の原因として非難する、というのが主な構図である。また、批判者たちは「人類は進歩しており、世界の状態は良くなり続けている」というピンカーの主張を「データをチェリーピッキングして作り上げた幻想だ」とみなし、啓

    「啓蒙をめぐる戦争」(『Enlightment Now』への批判に対するスティーブン・ピンカーの応答)【その1】 - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2019/03/17
    ピンカー『Enlightment Now』「合理主義や科学を擁護して、非合理的な考え方や信仰を批判するこの著作」に対する文系インテリの批判に対するピンカーの反論。両者の対立を生む「誤りの理論」と「争いの理論」の相容れなさ
  • IQ・経済・民主主義 - 道徳的動物日記

    Hive Mind: How Your Nation's IQ Matters So Much More Than Your Own 作者: Garett Jones 出版社/メーカー: Stanford Economics and Finance 発売日: 2016/11 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 以前に読んだ、経済学者ギャレット・ジョーンズの著書『Hive Mind: How Your Nation’s IQ Matters So Much More Than Your Own(蜂の巣マインド:なぜあなたの国全体のIQはあなた自身のIQよりもずっと重要なのか)』の中でも、特に面白かった第7章「知識のある有権者と、選良政治の問題(Informed Voter and the Questions of Epistocracy)」について軽く紹介しよう。尚、『蜂

    IQ・経済・民主主義 - 道徳的動物日記
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    njamota 2017/07/08
  • 『ガリレオの中指』、『人はなぜレイプするのか』、学問における事実とイデオロギーの関係 - 道徳的動物日記

    Galileo's Middle Finger: Heretics, Activists, and the Search for Justice in Science 作者: Alice Dreger 出版社/メーカー: Penguin Books 発売日: 2015/03/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 今回紹介するのは、私が最近読んでいるである、アリス・ドレガー (Alice Dreger)の著書『ガリレオの中指:異端者、活動家、正義の探求(Galileo's Middle Finger: Heretics, Activists, and the Search for Justice)』に書かれている内容。 『ガリレオの中指』は、活動家や学者たちのアイデンティティやドグマやイデオロギーがいかに科学的探求を歪めてきて、不都合な科学的知見を発表する科学者を攻

    『ガリレオの中指』、『人はなぜレイプするのか』、学問における事実とイデオロギーの関係 - 道徳的動物日記
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    njamota 2017/07/08
  • 市民的不服従の倫理 - 道徳的動物日記

    先日に訳した記事に関連して、倫理学者のピーター・シンガーの主著『実践の倫理』で行われている、市民的不服従に関する議論も簡単にまとめてみよう。参考にしているのは第三版の原著(三版は未邦訳)、11章の「市民的不服従、暴力、テロリズム(Civil Disobedience, Violence, and Terrorism)」から。 この章の冒頭でシンガーが市民的不服従の例として挙げているのが、ナチス政権下で当時のナチスの法を破ってユダヤ人を救ったオスカー・シンドラー、ペンシルヴァニア州立大学の研究所に不法侵入してそこで行われたサルの頭部を損傷させる実験の映像を撮影して公開した動物解放戦線、堕胎を殺人と同様の罪であるとみなして中絶を行う産婦人科病院に不法侵入などを伴った抗議をしていた中絶救助隊、また自然環境を守ったり気候変動を防ぐために不法行為を伴う抗議活動をした環境活動家たちである。シンドラーの

    市民的不服従の倫理 - 道徳的動物日記
    njamota
    njamota 2017/07/05
  • 「アメリカン・マインドの甘やかし:トリガー警告はいかにキャンパスの精神的健康を傷付けているか」byグレッグ・ルキアノフ, ジョナサン・ハイト- 道徳的動物日記

    アメリカでは、PC(ポリティカル・コレクトネス=政治的な正しさ)を追求する運動は1980年代から行われてきたようであり、運動に対する批判や揶揄も行われ続けていたようだ。しかし、有名な風刺コメディアニメの『サウスパーク』が今年のシーズン19のテーマとしてPCを題材にしているなど、PCに関する注目は最近になって増しているらしい。 今回紹介する記事の著者は二人。グレッグ・ルキアノフ(Greg Lukianoff)は憲法学者であり「教育における個人の権利財団」の取締役であるらしい(記事内の紹介によると、言論と学問の自由を守ることを目的とした財団であるようだ)。ジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)は社会心理学者であり、翻訳されている著書として、古来からの哲学の知見と現代の心理学や認知行動療法の知見を結びつけた『しあわせ仮説』や、なぜ人々は異なる道徳的価値観を持つのかということ・なぜ人々

    「アメリカン・マインドの甘やかし:トリガー警告はいかにキャンパスの精神的健康を傷付けているか」byグレッグ・ルキアノフ, ジョナサン・ハイト- 道徳的動物日記
  • トランプ支持者の心理・権威主義と反移民 - 道徳的動物日記

    www.the-american-interest.com 日紹介するのは、 社会心理学者のジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)が American Interest 誌に発表した「ナショナリズムはいつ、なぜ、グローバリズムに打ち勝つか(When and Why Nationalsm Beats Globalism)」という記事。近年の西洋民主主義国家において、普遍主義的・自由主義的で多様性を尊重する価値観を持ったグローバリストとそれに反対する価値観を持ったナショナリストとの争いが各国における移民問題をきっかけに表出するようになっていて…という記事なのだが、かなり長い記事なので、今回は後半(4章構成のうちの3章と4章)を紹介する。この記事における「グローバリスト」と「ナショナリスト」という言葉の定義の説明などは1章と2章でされるので、その辺りは少し分かり難くなるかもしれない

    トランプ支持者の心理・権威主義と反移民 - 道徳的動物日記
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