こいし てる/1964年、兵庫県生まれ。コラムニスト。映画や漫画など大衆作品の読み込みを通じて、世間を切るコラムを得意とする。 この著者の関連記事 「もののけ姫」や「ハウルの動く城」を抜き、邦画では興行収入歴代二位に躍り出た映画「君の名は。」。一方、「ムズキュン」のキーワードで高視聴率を叩き出したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)。今年を振り返る上で不可欠なこの二大ヒットには、現代の若者のメンタリティを映し出す共通の物語があった。人呼んで“サブカルの狙撃手”、覆面コラムニスト・小石輝が徹底分析する! 「あり得ない設定」で満たされる 練り込まれたストーリー、美しい風景描写、高レベルの作画……。「君の名は。」ヒットの原因については様々な指摘がされている。だが、「もっと本質的な理由があるのでは」と思う人も少なくないだろう。 私の考えでは、この作品が人々の心をわしづかみにした最大の理由は