今年2月、筆者が発行する月刊誌『農業経営者』の読者とともにロシア沿海州を訪ねた。新潟から空路1時間半のウラジオストックから車で3時間。そこには広大な水田地帯が広がっている。緯度は稚内と同じ北緯45度だが、夏の気温と日照に恵まれたコメ栽培の適地である。中国の黒竜江省と国境で隔てられたハンカ湖周辺である。 我々はそこで、日本人の農業経営者たちが、日本の良食味品種を、田植えがいらない乾田直播という低コスト技術でコメ作りに取り組むことを目指している。Made by Japaneseで、市場はアジアである。 ロシア人の女性と結婚し、沿海州に約8000ヘクタールの農地を持ち、そこで大豆やコーンの生産をするニュージーランド人経営の農場を日本商社の紹介で知った。その農場では約400ヘクタールの水田も所有しており、そこで経営実験に取り組むべく話を進めていたのだ。 ところが、同農場が韓国のヒュンダイ財閥に買収