安住の地は、生まれ故郷だった。 2000年の現役生活にピリオドを打ったフジノマッケンオーは、種牡馬失格の烙印をおされ、その後はめぐり合った施設の閉鎖にまた行き場を失い、乗用馬施設を転々としたのち、2005年に生まれ故郷の本桐牧場に戻ってきた。 大正8年創業。100年にならんとする本桐牧場の歴史は“幻の馬”といわれたトキノミノルや天皇賞馬ヤマニンモアー、メジロタイヨウ。あるいは名牝のほまれ高いオーハヤブサ(オークス)などとともにある。名種牡馬チャイナロックをけい養し、メジロティターンやウィナーズサークルも種牡馬としてけい養していた。現在、フジノマッケンオーと仲良く隣同士で放牧されているハギノカムイオーも、そんな1頭だ。 サラブレッド、とくに牡馬が生まれ故郷に戻れる確率を考えると、本桐牧場の放牧地で草を噛むフジノマッケンオーは、その存在が奇跡といってもよい。 「おとなしい馬なんですよ。色々なと