浮世絵のような世界はね、 過去が買えるっていうことが 嬉しいということもあると思うんです。 江戸時代に誰かが刷った。 葛飾北斎なり鈴木春信なり喜多川歌麿なり、 ちゃんと名前を知ってる人が描いた。 そのことが嬉しい。 でもね、過去の作品は、 ちょっとわかったような気になると 骨董を買うことと同じで、 知っているふりをしたくなるんです。 舐められなくないと思って、 「ああいいよね」とかっていう セリフを言っているうちに 買うモードに入っちゃって、 ここでも「酔う」んですよ、やっぱり。 骨董好きのともだちがふたりいるんですが、 ひとりはものすごくセンスのいい人で 本当にお金を使わずにいっぱいいい骨董を買った人。 もうひとりはいっぱいお金使って 骨董界の有名人になった人。 で、彼らが言うには、 骨董というのは悲しいものだって。 悲しい人しか買えないって。 僕はもう全然骨董の世界を知らないから、 「