日米開戦前に設立された、敵国の経済的な弱点を探る情報機関「陸軍省戦争経済研究班」(通称、秋丸機関)がまとめた機密報告書「英米合作経済抗戦力調査」のうち、所在が不明だった第二巻「其二(そのに)」が見つかった。英米両国の強大さを指摘するデータを示す一方で開戦回避の提言はなく、研究に参加した研究者たちが軍部の意向を無視できなかった事情がうかがえる。 陸軍の秋丸次朗主計中佐が率いた同機関の活動は、当時の日本の海外経済調査として最大規模。「其二」はA5判三百二十二ページの分量で表紙に「極秘」との印がある。英米両国を中心に各国の経済情報を収集・分析し、税金や国債発行で調達できる軍事費も推計。「英米の造船能力以上の船を撃沈すれば勝算がある」と戦略も提言した「其一」(百四ページ)の裏付け情報となっている。牧野邦昭・摂南大経済学部准教授(日本経済思想史)が東京の古書店で発見、今年二月、東大経済学図書館に寄