その日、僕は、軽のライトバンで会社へ向かっていました。 始業時間には、ギリギリ間に合いそうでしたが、タイムカードは少し遅らせてるので、まだ余裕はあります。 しかし、たまに、開店を待っている業者がいて、店を開けるのがちょっと遅れると、激怒し、まるで犯罪者のように僕を罵ります。 「アイツら朝っぱらから来てんなよ…」 僕はそんな複雑な気持ちを抱えて、ハンドルを握っていました。なかなか変わらない赤信号。ノロノロと進む大型トラック。ムダに車間を空ける高齢ドライバー。そんな雑魚どもに、軽く舌打ちを響かせながら、僕はアクセルを強く踏みこみました。 山間部のワインディングロードを抜け、市街地を疾走し、海沿いの工業地帯まで来ると、もう、ここから先は信号がありません。 バックミラーでみるみる小さくなっていく大型トラックを一瞥して、僕は一目散にライトバンを走らせました。 そして、海沿いの最終コーナーに差し掛かっ
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