「コーポレートファイナンスの意味」という語句をサーチエンジンで検索すると、「企業価値の最大化を図るうえで、いかに資金を調達し、投資すればよいかを金銭的側面から検討・実行する活動」という説明を見つけることができる。 国際財務報告基準(IFRS)が一般的に「資産・負債アプローチ」であると言われるのは、「IFRSフォーラム」読者諸氏にとってはもはや常識のようなものだろう。期末の資産と負債の構成の表示こそまさに投資と資金調達の「成績表」であるとする点で、IFRSは「コーポレートファイナンス会計」と言っても過言ではない。 そして企業価値の最大化を図るための資金調達と投資という原点に立ち返った際、期中の資産と負債の増減を示す利益項目、すなわち「包括利益」が重要であるといえるだろう。 本連載では包括利益の表示に関する実務上の諸問題に触れつつ、企業グループの価値の最大化のために欠かせない連結会計業務が包括